2018年5月17日木曜日

個性と戦略の証


イラストレーターとして、ずっと悩んでいるのはその売り上げ過小である事も確かだが、それ以上に描き方&売り方だろうか。今や、電子媒体を上手に使い、効率的に製作に挑んでいる若手に対し、未だデッサン&色付けの後にスキャンし、画像処理する方法は中途半端であり、何とかしたいとずっと考えている。但し、その為には投資(例えば、WACOM等液晶タブレット購入やCLIP STUDIO等のお絵かきソフトの購入)が必須なのだが、IPADでお茶をずっと濁してきた結果、今更新たなハードやソフトのお勉強はやりたくないと我儘を言っていて、ここまで来ている。その過程でアップルで愛用していた幾つかのお絵かきソフトがバージョンアップを断念した結果、かなりのパーフォーマンス低下に陥り、益々困惑してるのが現状だ。さて、前置きが長くなったが、「もっと知りたい長谷川等伯―生涯と作品」:黒田泰三氏を読んでいる。等伯は小説ネタにもなり、かなり生臭い画家であることは知っていたが、狩野一門への対抗策として、その戦術と戦略がしっかりと記載されているので、参考になった次第。本文は1)七尾時代、2)京都に上る、3)等伯前期、4)等伯後期、5)等伯晩期の各章に分かれ、当初は新たな技法として多彩な筆使いで後半は金地の異なる使い方で対狩野に対し個性を発揮し、後半はパトロンの秀吉の関心を買うために、①巨大涅槃図、②自雪舟五代、③流行画題の追及なる戦略があったと説く。確かに、波濤図なんかの荒々しさは独特の雰囲気があり、日本画としての独自性への挑戦が伺えて、興味深い。まあ、既存の巨大勢力であった狩野派打倒には、色々な取り組みが必要だったのだろうと推測できる。先日、日経ブログで元婦警の漫画家の躍進についての記事が掲載されていたが、警察という言わば閉じられた社会の開示ネタのユニークさを狙う戦略と、下手な?絵のバックアップとしてセリフを沢山埋め込むという戦術は中々のものと感心していたので、古今東西、絵師たちの格闘は果てしがないものだと改めて感じた次第なのだ。

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