2017年7月14日金曜日

小説家の裏側のお話


「みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子訊く/村上春樹語る―」:川上未映子&村上春樹氏を読んでいる。これはある意味で、小説家村上春樹氏の解剖劇でもあるのだ。此処まで、一人の小説家を追い掛ける事は普通ないが、あとがきに村上氏自身が書いている様に、インタビュー側の川上氏の鋭い質問が活性剤になり、より見えない、あるいは見てはいけないはずの小説家の裏側をのぞき見す出来、氏も含め、読者も面白いだろうとの認識の上で、こうして書籍化された経緯ようだ。よって、実際、面白い。綺羅星の様に、小説家の在り方が要所要所に書かれていて、一問一答が見逃せない。ここに羅列してみよう。(優れた)作家はキャビネットを持つ事と比喩が出来る事。長編小説を書く当初から結末は置かないが、多少の縛りは設ける。人称は複数必要。活性化、内的読書、リアリテイを超えるもの、外科医、マテリアルをくぐらせる、リズム感が大切。ここでひと休止すると、村上氏の略歴は早大卒後、ジャズクラブを7年間経営後、小説家に転向。長編小説を書く時は一日20枚のペースで一年間書き続けると。又、それを書き直すのに、計6~7回。それだけでは終わらない。まずは題名から始まると言う。それから物語が頭の中で煮詰まってくるのに、約半年。それからスワッと書き出すそうだ。これから長編小説が完成する期間を換算すると、3~4年は掛かることになる。ひゃ~と驚いてはいけない。最も、翻訳などは片手間に手掛けているようではある。最も、数年間長編小説に掛かり切れるにも、書いた本は十万部以上は確実に売れるから出来る訳で、ここに村上氏の言う、信用取引が読者との間に出来ているからこその、品質向上への努力なんだと理解も出来る。さて、後半の羅列。小説家はエッセーは止めた方が良い、体力が必要(村上氏は風邪もひかないし、一年に一度はフルマラソンに出場する)、現実の相手と戦う、地下2階で戦う、悪しき物語は大切、分かり易い文章で分かり難い事を書く、非リアリズムな物語をリアリズムの文体で書く、何でも文章に出来る訓練を続ける、主人公は自由が利く30代半ばが好適、結果はポジテイブに、常に驚きを設け読者を眠らせない事。等々だ。言葉の羅列で多分、理解し難かったと思うが、それはこの2015、2017年の二回に分けての対談集を読めばお分かりになると思う。実に面白い一流の作家の舞台裏が覗けることをお約束する。



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