2017年7月11日火曜日

空への夢物語を知る


経済新聞に自動車メーカーの本田で果敢にジェット機にチャレンジしたエンジニアの苦労話がコラムとして掲載されている。一から立ち上げたプロジェクトの苦労の度合いは計り知れないが、それに対する情熱が最終的には成功へと導いた夢実現物語で、同じ(元)エンジニアとして甚く共感している。で、この本を手に取った。「航空機産業と日本 - 再成長の切り札」:中村洋明氏だ。氏も元日系機械メーカーのエンジニア。しかも、航空機部品製作に永く携わった経験から航空機への情熱は半端ではない。氏曰く、世界の航空機市場は520兆円(関連企業分含むと1040兆円)。ボーイング747で1基400億円もするのだから、その存在価値は昨今のLCC台頭と相まって、成長産業であることに異論は無かろう。但し、これが日本側(氏)の視点からすると、やや不満が募る様だ。その理由は一番旨みの高い完成機ビジネスまで到達した日本メーカーが無い点だ。確かに、既に日本メーカーの部品比率は30%近いを報道されるが、それはエンジンや装備品を除いた機体構造部分であって、よって高々10%程度まで低下するようだ。氏はもしこの完成機ビジネスに日本が本格参入出来れば、凡そ10万人の雇用確保と数千億円の貿易収支の赤字を生んでいると指摘する。但し、巨頭ボーイング、エアバスを追い掛けろとは、流石に氏は言わない。これから伸びるだろうビジネスジェットを推奨する。何故なら、日本はこの保有数が米国の1%にも満たない貧弱さであるからだ。但し、これには日本人特有のビジネスジェットアレルギー(贅沢という意識)排除や各空港の受け入れ態勢の整備等が必要と述べる。氏の提案や考察はこれだけでは収まらない。航空機本体に対する環境適用の改善項目、オスプレイに対する安全性考察、沖縄下地島空港の代替案、中国の航空機産業の台頭、敗戦国として同様のドイツ航空機産業との比較(数倍の規模を有している)、わずか7年で閉じたYS11への想い、自衛隊からの受注減等だ。何故そうなっているかについては、氏が最後にその総括をしているので、本書で確認して頂きたい。但し、私自身はその結論が国家責任に殆ど依存する点に若干の違和感がある。確かに、巨大産業ではあるが、全てを国産化した先に未来が本当に見えるだろうか?それは他の機械メーカーでも同様の傾向があるように思える。近場で言えば船舶などはその良い例ではないかだろうか。完成機メーカーに格上げされるのは、エンジニアの本懐かもしれないが、少子・高齢化の日本社会の中で、重厚長大的要素が大きい航空機産業が成長する余地は少ないように思えてならないが、皆さんは如何だろうか。



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