2017年7月1日土曜日

人口という基本データを観る



「日本の人口動向とこれからの社会: 人口潮流が変える日本と世界」:国立社会保障・人口問題研究所、森田朗氏を読んでいる。少子・高齢化時代に入った日本。そのメインテーマである。章は12に分かれ、1)日本の人口動向と社会、2)人口学的要因からみた地域人口の変化と将来像、3)世帯の動向と将来像、4)人口動向と社会保障、5)長寿化とその影響、6)少子化とその影響、7)ライフコースと家族、8)その変化と社会保障、9)東アジアの低出産・高齢化問題、10)世界の国際人口移動、11)世界の人口と開発、12)仮想人口シミュレーションとその政策議論への応用だ。

まずは1の現状認識が重要であろう。以前にもこのブログでも紹介したように、日本の人口減少は2008年に既に始まっている。ピーク1億2709万人だった。そして、人口ボーナスからオーナスへの移行を始めていることも述べた。氏はこの現状の全てを「社会の失敗」とは捉えない。むしろ、健康・長寿なる価値を得たと述べる。逆に言えば、何故少子化という人口減の失敗を犯しているのか?そこにメスを入れる。2では人口減少を大都市、それ以外と分析し、3では世帯間に触れ、おひとり様まで考慮した分析がされている。4では一番肝となる社会保障だ。2012年の時点での社会保障費は福祉(20兆円)、年金(54兆円)、医療(35兆円)と対国民所得の30%まで占めるようになっている。そして、この総額110兆円近い保障費は2025年には150兆円まで膨張すると厚生労働省の予想データが示される。これは詰まり、国民所得が増えない場合、40%まで負担増になる。更にこれに上乗せされるものが、租税であり、且つ財政赤字の負担金だ。すると、2012年度に置いても、約50%という社会保障の優良国と言われる北欧並み(60~70%)の値に近付いてくる。やはり、このままでは持続可能な社会とは見えないのは当然かもしれない。5では、長寿化の原因には、感染病による影響、循環器系疾患、がん、老化へと移行し、日本ではがん時代に入り、それもいずれ克服するだろう、詰まり長寿化はより加速化されるという見通しなのである。6では少子化の原因として結婚行動の変化(未婚、離婚)が挙げられ、それにはカップルに成り難く、配偶者も子供も持たない生き方と親族の少ない中での生き方が余儀なくされる時代の到来を示唆している。7,8では変わってきたライフコースにメスを入れ、それに伴う社会保障制度の不備を問う。特に、非婚・離死別の独身者(おひとり様)の社会的リスクを取り上げている。但し、限られた資源・財源をそこに集中すると、逆に非婚・離死別の傾向を助長し、非家族化・少子化をより加速化する懸念もあり、十分な議論が必要と論じている。最終章は悲観的だ。例えば、今、少子化対策をとっても、人口減少にはさほど効果はない人口モメンタムがある事、高齢化という事は死亡数が益々増加するという事実、政治参加の世代間差が永遠に無くならない事等だ。そして、こうした深刻な課題には勇気を持って、思想を切り替え、旧体制の再構築に望むべきであると結論付けている。そして、既に十分幸せを享受する現世代こそがその責任を担うべきだとも。さて皆さんは如何お考えだろうか?


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